マイナンバー制度のトホホ

マイナンバー制度法案が実現?
国民全員に個別の番号を割り振り(共通番号制度)、納税と社会保障の情報を一元管理する「マイナンバー制度」が、実現する見込みが高い。政府提出法案について民主、自民、公明の3党が一部修正することで大筋合意し、今国会で成立する公算が大きいようだ。

この制度は、政府が国民一人一人に番号(マイナンバー)を設定し、年金、医療、介護保険、労働保険、納税実績、あと災害時の管理など従来は別々に管理している情報を一元的に集約する仕組み。
   制度概要は、こちら http://www.cas.go.jp/jp/houan/120214number/gaiyou.pdf

政府は、情報を一元管理することで、個人の所得や社会保障の状況を正確に把握できるとし、「公正な納税や効率的できめ細かい社会保障を実現できる」とメリットを指摘する。
導入決定のタイミングは、現在で審議中の消費税増税法案が、共通番号制度を前提としているため、例の「待った無し」のバタバタ。確かに、低所得者向けに減税と現金給付を組み合わせる「給付つき税額控除」では、所得を正確に把握して不正受給を防ぐためにも、マイナンバーのような制度は不可欠ではある。

今までも、税の捕捉率は、給与所得者は約9割、自営業者は約6割、農業、林業水産業従事者は約4割のクロヨンと呼ばれ、自営業者らの所得捕捉が十分ではなく、源泉徴収の会社員との不公平感が根強かった。マイナンバー制度で所得把握の精度が向上し、課税逃れ防止をすること自体には、意義がある。

ただ、この「マイナンバー制度」は、トホホと言わざるを得ない。

■トホホなマイナンバー制度、その理由
第一に、wikiにあるが、従来からの縦割り行政の非効率さを増大させそうなこと。

日本では、現在、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者番号、運転免許証番号、住民基本台帳カードなど各行政機関が個別に番号をつけているため、国民の個人情報管理に関して縦割り行政で重複投資になっている。あらゆる行政サービスを包括する身分証明書は現在のところ存在せず、これは先進国ではかなり珍しい。

   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E7%B7%8F%E8%83%8C%E7%95%AA%E5%8F%B7%E5%88%B6

このような状況に、マイナンバー制度も追加される。
10年ほど前、今回のマイナンバーと同じように大騒ぎして導入された住基ネット、そのユーザが持つ住基カードは、2012年3月31日時点の累計交付枚数は655万枚と国民の5%ちょっと。今までの住民票発行などの運用と住基カード運用のダブルで行政サービスを非効率にしているのが実態である。

国が国民を管理するのはある種当たり前だが、縦割り行政で非効率、かつ穴が多いというトホホがまずある。役所ごとに国民を管理する番号(ナンバー)が乱立すると。
上のwikiにある ”あらゆる行政サービスを包括する身分証明書は現在のところ存在せず” は、その通りであり、マイナンバーは上記のように社会保障と税に関するものだから、原則、これを目指していない。

だが、第二のトホホは、これに関連する。
現在検討されている「マイナンバー制度」を批判的に見る、元Googleの村上さんの良記事がある。
     肥大化するマイナンバー制度、不要な機能を盛り込む“愚策”
     http://www.nikkei.com/article/DGXBZO44310780Q2A730C1000000/

この記事の中で、彼は、 ”本人確認は3つの要素(1)身元確認、(2)当人確認、(3)(納税などの)真正性確保/属性情報取得があり、それぞれ、「運転免許証のような身元証明書(身分証明書)」、「ID/パスワード」、「社会保障番号のような番号」でうまく運用している米国のケースを挙げている。
これに比べ、日本のマイナンバーは、本人確認の3要素をぐちゃぐちゃに捉え、かつすごく金がかかるシステム設計により、”あらゆる行政サービスを包括する身分証明書”のような機能をマイナンバーカードに盛り込もうとする動きがあることを問題視している。

つまり、納税と社会保障の情報を一元管理する目的の制度に悪乗りして、何でも行政サービスが受けられる「国民共通番号」制度を盛り込み、無駄で非効率なシステムが導入されようとしていると。

これが、第三のトホホに関連する。
何故、このような「納税と社会保障の情報を一元管理する」制度と、ICTシステム設計・開発がちぐはぐになるのか?
今回のマイナンバー制度は、内閣府(および関連官庁)が主導しているが、そもそも国の奥の院にいる連中が地方自治体が窓口になる税や社会保障の業務を理解していないという実態がある。ましてや縦割り行政の弊害を打破する新たな設計をする高邁な思想もなく、ICTも含めた制度設計ができていない。

そこに、ICTゼネコンと呼ばれる企業が、ワアーッと集まり、食い物にすると。「せっかくマイナンバー入れるなら、税や社会保障だけでなく、国民の身分証として、すべてのサービスの基盤にしましょう」と。

マイナンバー制度の開発と運用に対して、新聞赤旗は、開発だけで6100億円と報道(これは2010年の国家戦略室の見積数字であるが、)し、総務省は「2500億円プラスマイナス1000億円程度」を見込んでいるという。
   マイナンバー番号制度のシステム費用はおいくら?
   http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20120411/390663/?ST=govtech&P=2

国民全員にICカードを配布し、身分証明書としても使えるとかすると、総務省の費用見積もりを超えることが予想される。

まあ、縦割り行政の非効率は温存し、新たな縦割りシステムをつくるのに、共通基盤の横串を差すような悪乗りが起こり、コスト高を招くが機能しない(使われない)可能性があるという制度設計のちぐはぐさ。
これがマイナンバー制度の真の問題と感じる。

マイナンバー制度の真の問題
マイナンバー制度に対しては、弁護士団体の自由法曹団など4団体が、プライバシー侵害の恐れなどから反対を表明している。国民に固有のマイナンバーを割り当てることに対して、国の過剰な管理や権力行使を危惧するナイーブな反対もあるようだ。
プライバシー侵害の対策のために、過度にセキュリティを高め、使いにくいシステムになってしまうことを問題視する意見も多い。

ただ、真の問題は、上に書いたような、そもそもの制度設計にあるし、それが無駄なシステム(コスト高、使われない可能性)を生む構造にある。その背景には、やはり消費税増税タイミングに間に合わせようとするドタバタがあるのだろう。

この件だけを考えるなら、無駄にシステム費用が高くなるだけで、まあトホホ。
ただ、住基カードが失敗し、今回のマイナンバー制度となり、今後の行政制度設計もちぐはぐさが続くようだと、、、まじヤバいなあ。

「日本再生戦略」   今後チェックすべきは1つだけ

政府の「国家戦略会議」で策定された野田政権の経済成長戦略である「日本再生戦略」が、7月31日に閣議決定された。
    http://www.npu.go.jp/policy/pdf/20120731/20120731.pdf

日本再生戦略で、チェックすべき観点は1つだけと思う。

ロイターのニュース配信が、うまくまとめていた。
「政府が「日本再生戦略」まとめる、環境など3分野に重点投資」

・・・2020年までの成長戦略を描いた「日本再生戦略」をまとめた。基本方針に、被災地の復興などと並び「あらゆる政策手段を使って円高とデフレの悪循環を防ぐ」と明記、円高・デフレ対策に取り組む姿勢を強調した。
次世代自動車などの環境、医療、農林漁業の3つの重点分野への予算配分を徹底し、特別会計を組み替える方針も掲げた。
  (中略)
日本再生戦略は基本方針として、1)被災地復興とエネルギーの構造転換、2)次世代自動車や蓄電池などの「グリーン」、次世代医療などの「ライフ」、「農林漁業」などの重点分野に今後3年間、財源を優先配分し、中小企業の活力向上を含む4大プロジェクトを実施、3)デフレ脱却と円高への対応、4)政策中心・省庁横割りの予算編成、5)政策の厳しい進捗管理──を掲げた。民主党が掲げる名目経済成長率3%、実質2%を目指すには「長年のデフレから早期に脱却するとともに、急速な円高進行への対応が必要不可欠」だと指摘し、日銀との緊密な連携の下で「デフレ克服に全力で取り組む」とした。
  (中略)
また、11の成長戦略と38の重点施策を明示。環境関連や医療、介護などの分野で新市場を創設するほか、成長マネーの供給拡大に向けた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの公的マネー改革や、円高対応緊急ファシリティのさらなる有効利用促進も盛り込んだ。環境関連で50兆円以上の新規市場と140万人以上の新規雇用を、医療介護分野で約50兆円、284万人の雇用を創出する、などとしている。
  (中略)
野田佳彦首相は日本再生戦略の実行に向け、「日本が再び力強く成長できるよう、政府として施策を総動員していく」とし、震災からの復興と福島の再生を最優先としつつ、政策ごとにメリハリをつけた予算編成をしていく考えを示した。

日本の経済成長戦略として、環境、医療、農林漁業の3つの重点分野への予算配分を徹底。11の成長戦略と38の重点施策を明示し、100兆円超の新市場を創出し、480万人以上の新たな雇用を生み出すと。

■成長戦略は重要だが、、
経済成長戦略は大切である。
一部で、「日本は既に高度に経済成長しているのだから、これ以上成長は必要ない」という意見があるが、おかしいと思う。特に、一部の脱原発派が、「経済成長よりも命」とかいうが、そもそも命を支える経済と命を比べるのは、僕も脱原発の支持者だが、明らかにおかしい。
経済成長、日本のように人口減少が顕在化している場合は、一人当たりGDPの向上と定義したいが、は人間を幸福にするからだ。当然、経済的な豊かさ価値だけが、人間の幸福を決めるわけではないのは確か。
   ちなみに、日本の一人当たりGDPは、近年は20-25位くらいを行ったり来たり。日本男子サッカーのFIFAランクと同じくらい。
   つまり、まだまだ伸びしろはあるということ。

経済価値は、様々な価値がある中で、個々の人の経済の豊かさが上がれば、今より不幸になることは無く、万民が納得する世の中全体が良くなる数少ない価値の一つである。このようなパレート改善(全員の効用を高める改善策)として経済価値は重要と思う。
当然、パレート改善を指向する経済成長戦略を否定する理屈は無い。

この辺は、飯田泰之さんのこの本がおすすめ。

ただ、そのやり方は、様々だ。
通常、成長戦略と聞くと、大抵の人が「お上が成長産業を選別し、そこへ集中投資する」ことを思い浮かべるだろう。今回の日本再生戦略も、環境、医療、農林漁業の3つの重点分野、11の成長戦略と38の重点施策が掲げられている。

そんなことはない。
経済成長のためには、労働の拡大、資本や生産など設備の拡大、技術や規制緩和等を活かした生産性の拡大がある。人口は減少しているが、海外から高度な移民を増やして労働力を増やしたり、日本企業が投資しないのなら、海外から投資を呼び込んだり、ICTなど活かして生産性を高めるなど、いろいろある。
成長戦略=(お上がつくる)重点産業政策の考え自体、極めて狭いものの見方だし、今回の日本再生戦略も今のままならトホホとしか言いようがない。

今回の日本再生戦略も「重点分野への予算配分を徹底し、特別会計を組み替える」など、予算の分捕り合戦が始まるというファンファーレが鳴った意味しかない。
戦略とも言えないかもしれない。「11の成長戦略と38の重点施策」って、明らかに数が多すぎる。各官庁が挙げてきた施策を、国家戦略会議が束ねてホチキス止めしたということで、集中と選択という戦略設定も弱い。


■日本再生戦略の予算化などチェックは1つだけ
野田佳彦首相は日本再生戦略の実行に向け、「日本が再び力強く成長できるよう、政府として施策を総動員していく」”らしいから、消費税増税を見越した来年度バラマキ予算が早々と検討されるだろう。民主党も、予算の枠組を決めてから解散選挙と言っているようだし。

1つだけ注目したいのは、3つの重点分野である環境、医療、農林漁業は、すべて規制が強い分野だということだ。規制を緩和する政策で、労働力と資本を効率的に組み合わせると、成長の伸びしろは大きい。
例えば、環境分野のスマートグリッド分野のように、電力事業の規制緩和(例えば発送電の分離)政策とICTを組合せると新たなサービス市場を創造することにつながる。医療分野の全面的な規制緩和は問題が大きいが、例えばインターネットを使った薬の売買やオンライン医療・健康アドバイスなどは、新たな価値を生み出す可能性がある。農林漁業も、大規模資本を呼び込む規制緩和で、野菜工場が拡大すれば、おいしい日本の農産品が海外でバカ売れ、というのも夢ではない。

冴えた規制緩和の制度設計と資本を組合せると、確かに魅力的な3分野である。(と言うか、今までがあまりにも既得権益強すぎだから)

逆に、今の制度のままとか、中途半端な規制緩和では、単に環境分野の畜電池工場や野菜工場、農業のための防災設備などの箱モノを補助金で作って、実ビジネスはトホホでした・・・みたいなことになりかねない。こんなことでは、100兆円超の新市場を創出し、480万人以上の新たな雇用を生み出すなど絵に描いた餅以外の何物でもない。

3つの重点分野である環境、医療、農林漁業の規制緩和の制度設計。今後、チェックすべきは、この1点のみ。
例えば、環境・エネルギー分野では、実効的な発送電分離を実現し、当然強い既存電力会社への規制と新規参入インセンティブ(まあ、太陽光の42円フィードインタリフはやりすぎだが、地熱発電インセンティブの拡大とか)とかね。

民主党じゃない政権政党のもとでの規制緩和の制度設計を、今後も注目すべきと思う。

日本2.0 思想地図β vol.3 やっと入手   「憲法2.0を国会で審議しろデモ」始まらないかな。

なかなか手に入らず、いらいらした「日本2.0」、やっと今日get!
新たな憲法憲法2.0)を起草する、壮大と言うかむちゃくちゃロックな試み。
(はい、RockとJohn Lockeをかけてみました)

日本2.0 思想地図β vol.3

日本2.0 思想地図β vol.3

駆け足で「憲法2.0」の大枠を読んだだけなので、ここではスクラップ・メモ&簡単な感想のみ。

素直に、憲法の草案が起草できる自由を喜びたい。
大飯原発再稼働反対デモもいいけど、「憲法2.0を国会で審議しろデモ」とかやらないかな。参加するぞ。


■メモ1:起草文と前文
<起草にあたって>
・新しい社会は、新しいマインドセットを必要とする。
憲法草案の重要な原理は、「フローとしての日本とストックとしての日本の両立」
 流れる日本と留まる日本、解体する/抵抗する日本、市場と遺産。その二面性を止揚する制度を提案しようと考えた。

→二面性/二元論の止揚がベースにある新しいマインドセットが起草の精神であると。

・前文「わたしたち日本国民は、日本国が単一の国土と単一の文化に閉じ込められるものではなく、その多様な歴史と伝統を共有する主権者たる国民と、その国土を生活の場として共有する住民のあいだの、相互の尊敬と普段の協力により運営され更新される精神的共同体であることを宣言する。」

→いきなり、国民と住民の二元論をもとにした開かれた憲法の宣言。 いいね!

・4つの国の理念の採用
1)日本は公正な国
・国政の権威は、国民にのみ由来
・国権は、国民の代表が、国民と住民全体の幸福のために行使
・その代表者の決定は、国民は差別されず、政府は国民と住民の自由を妨げてはならず、説明責任を負う

2)日本は平和な国
・世界の安全と生存を諸国民とともに保持する決意
・世界の諸国民が恐怖と欠乏から逃れるための国際社会の努力に名誉ある役割を果たす

3)日本は繁栄する国
・経済的、文化的、社会的活動で繁栄することこそ、幸福の礎
・繁栄は、国民、住民の自主自律の判断に基づく選択の上に築かれる
・繁栄の果実は「特定の世代」にのみ独占させず、子孫の手に引き継ぐために尽力

4)日本は開かれた国
・国の繁栄は、自国のみならず諸国民との協力が重要と確認
・歴史を将来に紡ぐため、志を同じくする諸国民とともに、多様な住民とともに、長く歴史を歩む決意

→「自由・平等・博愛」はベースにある? のだろうが、「公平、平和、繁栄、開国」をフローとストックの二元論の止揚で追及すると。
  okだ。


■メモ2:元首 二元論
・象徴元首=天皇と、統治元首=総理(というか実質大統領制)の二元首制

天皇は、伝統と文化の統合の象徴
天皇の国事は、政議院の助言と承認が必要、政議院が責任を負う

・総理は、行政権の最終責任者
・総理は、国民の直接投票により、国民の中から国会が指名

→元首も二元制。従来の日本の歴史は、権威と権力が分離していた時代が長く、それを踏襲しているようだが、役割・責任を明確化(天皇の国事行為の限定、総理の責任の明確化)。とにかくトップが責任とれる体制つくれと。


■メモ3:国民と住民 二元論
日本国籍持つのが日本国民

・日本住民は、「法律で定める期間、日本国土に適法に継続的に居住する者」
・住民は、国家に服するが、国会に関与する権限、選挙権を付与

→ここが凄い。
国籍に関わらず、「日本の社会を構成する仲間」として住民を規定すると。
人口減少ならびに海外に飛び出す「日本国民」が多くなると想定する中、従来の「外人」を、一定の政治参加も行う「住民」として包摂する憲法というのは、非常におもしろい。
まあ、嫌がる人、多いのだろうけど。


■メモ4:基礎自治体と国 二元論
・国民、住民は、基礎自治体と国に運営を委託

基礎自治体は、地域共同体の運営と維持(住民の生存、生活、出産、教育の支援等)について条例を制定。
・住民自治と団体自治が原則。運営組織と形式は、住民の選択。
・広域行政など、必要に応じて連携が可能。

・国は、安全保障、外交、国全体の福祉など、国の存立、対外的な事項について法律を制定。

→ここは、今の日本の状況に比べると相当なジャンプだが、地方・都市から国が成立した欧米社会にキャッチアップ、と考えていいかな。
少なくとも、トップダウン型の道州制よりは数段ましな「一国多制度」を生み出す憲法のような気がする。


■<読み切れず>行政、司法、立法、自衛隊など・・・
自衛権自衛隊は、正当性を明記。国の交戦権、国際紛争を解決する手段としての武力の行使は放棄。

・政議院(総理、内閣)/司法や監察院/国民院と住民院など、読めてない。(酔い)

→現行憲法の9条は尊重しつつ、整理したうえで、自衛隊は明記。ここも現実的だ。
行政、司法、立法、特に国民、住民の政治参加に関わる国民院と住民院は、後で読むと。。。

パラパラ読みで54条、 「両議員において、議員が通信技術等を通じて議場外から出席する方法については法律で定める」など、一般意志2.0的なイケイケ制度設計が目につく。これは、憲法改正とかではなく、ネット選挙とともに、早めに実現できればと思う。


■簡単な感想というかメモ
パラパラ読み直後の感想としては、憲法草案の基本としての二元論的な枠組み、国民と住民、天皇と総理の二元首制、基礎自治体と国の運営が非常に新鮮で面白い。現状の日本や現行憲法との差異は、もう少し読みたいが、、、

・現行憲法のラディカルさ(9条とか)を継続する、「国民と住民」ダブル包摂の過激さ
・今までのウヤムヤどうにかしろ的な、天皇と総理の二元首制による責任の明確化
・今の日本で最もトホホの地方自治/地域コミュニティに対して、基礎自治体重視の欧米へキャッチアップ
が柱と思う。 いいね!

この憲法でいう「国民と住民」は、今までの「日本人と外人」という国単位のウチとソト区分とは異なる。永続というか長い時間軸を共有する日本国民と在日外国人を括るという「国」の概念を飛び抜けた発想。
現行憲法9条の、(日本だけ国際紛争を解決する手段としての武力の行使は放棄はナンセンスだが)戦争放棄という他国との共有を目指して国の概念をすっ飛ばした発想に相似する理想を感じる。当然、理想は重要!

原発事故でも見せつけられた日本の無責任体質。やっぱ上から正せと命令する国民主権憲法精神が二元首制にあるような気がする。まあ、僕は、いまさら天皇でもないだろ、と思うが、東浩紀さんは、結構現実的。確か、天皇の容認・尊重派は国民の多数だったはずだ。

基礎自治体の重視は、本当にその通り。僕は、千葉市長とか、あと、(ちょっと)橋本 大阪市長にも頑張ってほしいと思っている。ただ、欧州のように都市というコミュニティ/社会が基盤としてあり、国がおまけ(というか従属する)のような連邦制は無理でしょ、トホホな道州制議論いまいちでしょ、とこの辺はhopelessだった。
この憲法読むと、やっぱ、しこしこ100年位かけて、基礎自治体重視の欧米にキャッチアップするのありかなという気になる。(単純です)

まあ、おもしろく元気が出る本なので、おすすめです。
憲法2.0を国会で審議しろデモ」とか、してみたいとも思う。

まず出来そうなことは、在日外国人とりわけ中国人のバイタリティ・サバイバル戦略を学ぶこと、原発事故の責任追及、国主導じゃなく地方ネットワークによる道州制の先行実施あたりかな。
    この辺は、前書いた 「中国化する日本 タフなリベラル化する日本の方が良いと思うのだが、、、」
    http://d.hatena.ne.jp/morissk/20120729
  

中国化する日本   タフなリベラル化する日本の方が良いと思うのだが、、、

日本の歴史ストーリーや見方が変わると話題の「中国化する日本」を読んだ。
確かに、西洋化・近代化・民主化という切り口で明治以降の歴史を学んだものとしては、目から鱗が多く、おもしろい。一貫したパースペクティブで、日本の中世以降、ポスト3.11までの全体を見通す歴史観は刺激的ではある。

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

そのパースペクティブとは、この本のキーワード、「中国化」と「再江戸化」を行ったり来たりする歴史観のこと。日本の中世以降の時代は、大半が江戸的な要素が強く、時々中国化の動きが起きるが、あまり浸透しない。中国化と江戸化が混ぜ合わさると、「ブロン」(掛け合わせの新品種で良いとこ取りを狙うが、逆に悪くなってしまう例え)効果が起こり、悲惨な状況となると。

ただ、読んでみて、すっきりしない点も残る。まとまりはないが、その辺も含めて、つらつらと書いてみたい。

まずは、この本の特徴的なところを見てみよう。

中国化と日本

「中国化」とは、10世紀末から始まる「宋王朝」の時代に、中国が形成した世界初の ”近世”システムのこと。
単純に言うと自由化・グローバル化だが、「経済や社会を徹底的に自由化する代わりに、政治の秩序は一極支配によって維持する仕組み」と定義している。

具体的には、
〇貴族制度を全廃して、皇帝独裁を実施
〇有名な科挙儒教の経典に基づく官僚採用試験)の採用で、貴族制と異なり、優秀な役人を選抜する人材競争制度を確立
〇「郡県制」(人民を地域ごとに直接統治する中央集権体制)で採用官僚をぐるぐる巡回させ、地方統治をするとともに皇帝に刃向うことを阻止
〇農民に貨幣使用を行き渡らせ(青苗法)、ガンガン儲けさすことで自由市場を拡大
〇世界普遍的な理念(朱子学)で政治統治行為を正統化
などを特徴とした自由競争システム。
近代の先駆けとなる自由と機会平等のシステムは、当時田舎のヨーロッパではなく、中国が最初に作ったとする。

自由というと、単純に欧米をイメージしてしまう歴史オンチとしては、ここで鱗が1枚落ちる。

■平安末期、鎌倉、南北朝時代に中国化の動きはあるものの、、
日本にも、「中国化」の波は来る。ただ、平安末期の科挙制度の導入は、結局失敗というかウヤムヤ。
日宋貿易を通じた「中国銭の導入」は、平清盛後白河法皇などの革新勢力が、農業と物々交換、荘園制に立脚した貴族制度をぶち壊すために拡大を試みた。ただし、守旧派の貴族や源氏勢力に結局潰されてしまう。
その後、鎌倉末期にも中国銅銭の流入拡大が起こり、年貢の銭納化が進むと、「異形の王権」後醍醐が、農業を基盤とする鎌倉武士社会を葬り去る。が、続く南北朝の混乱の中、やはり守旧派の武士に中国化は阻止されてしまう。

日本は、この頃からグローバル化(=中国化)には守旧派勢力が対抗することがわかる。

明治維新は中国化?
この本では、明治維新は、江戸幕府旧体制の自壊に過ぎず、中国化による国づくりが始まるとする。この辺を「西洋化」として捉えている者は、また目から鱗
具体的には、
〇将軍や幕府の二重権力を廃し、明治天皇太政官システムに権力を一本化
儒教道徳に依拠した教育勅語(1890年発布)を柱とした普遍的イデオロギーによる統治
〇日本型科挙制度(1894年高等文官任用試験:現在の国家公務員試験)と競争社会の導入
秩禄処分(1876年)、廃藩置県(1871年)による武士・世襲貴族のリストラと、科挙官僚への代替
〇地租改正(1873年)での土地売買の公認、身分制廃止など規制緩和を通じた市場の自由化
などの競争政策を進めたと。
技術は産業革命を果たした欧米からの輸入が中心だが、政治・統治システムは確かに中国化である。

中国化が一気に進んだ明治維新という歴史の再定義は、欧米一辺倒の日本の近代化という通説よりもリアリティがある。
ただし、明治維新も、徐々に形骸化していく。そう、再江戸化の動きである。

再江戸化 中国化が進むと江戸に回帰する日本

江戸化とは、戦国時代以降の、中国化とは180度正反対の日本独自の近世システムで、江戸時代に確立した。再江戸化とは、この日本型近世システムが、時代時代によって再帰することを指す。

一言でいえば封建制ということだが、以下の特徴がある。
〇自己責任の丸投げ・お上に委ねる主義と土建行政システム
日本の城は、欧州と異なり「公共建築」であり、いざという時、城郭内に避難民を収容して地域住民の命を守るものだった。権力者は、長い戦国時代を経て、秩序の安定を自己の存在理由とし、城づくりなど今日の土建行政につながる公共事業を重視した。
これを農民から見ると、中世・戦国時代までは、自身が帯刀して自分の身は自分で守っていたが、近世以降は「安全をお上に委ねる」ことが可能になるということ。
これは、機会の平等、結果自己責任の中国化とは真逆である。

〇地域コミュニティ・身分制による国民国家の形成
戦国時代の住民は、大名の命じた城郭工事に徴用されるが、それは地域ぐるみの国策協力であり、今一緒の地域で暮らしている人同士の結束力を生んだ。
これを強化・定着させたのが、江戸時代の「イネ」と「イエ」、そして身分制度
江戸時代の稲作普及により、地元で自分の田んぼの管理をきちんとすれば食べていけるようになった。ジャポニカ米が手間がかかることから、きめ細かい小規模運営にならざるを得ず、核家族に近いコンパクトな「イエ」制度が発達し、それが新田開発の起爆剤ともなる。
そこに、相互監視で地域ぐるみによって納税に責任を負う「村請性」が合わさり、地域コミュニティが確立したと。

これは、身分制度や土地に縛られる不自由な社会で、中国化とは真逆である。ただ、その頃の農民から見ると、排他的に占有できる職業や土地を手に入れ、子孫代々そこそこ食べていける安定化をもたらすメリットが大きい制度とも言える。

〇ガス抜きが可能な身分制
中国は宋時代に身分制は廃止されたが、日本では、それよりも600年も後の江戸時代においてすら身分制があったことに驚くべきだと、この本は指摘している。
先に挙げた「イネ」と「イエ」の好循環により、家職や家産が百姓にも与えられた効果が大きいが、長く継続した理由は、そのゆるさにあるようだ。

士農工商」の身分制は有名だが、日本の場合、その地位と役得の一貫性は低い傾向にある。欧州の場合、身分が高い貴族が、地位も名誉も、経済性もすべて総取りする仕組みだが、日本は、総取りを許さないゆるい仕組みになっている。
身分が高い武士が名をとり、下の商の者が経済性の実をとる社会が実現し、身分制の閉塞感のガス抜きをしていると。

〇無責任・権力と権威の分離
多くの歴史上、権威者=天皇と、政治権力者は別で、かつ運営の実権は組織内の複数の実力者に分散していた。士農工商の身分制で権威のヒエラルキーはあるが、先に挙げた身分制の一貫性が低いことも権力と権威の分離の延長にある。
そのため、責任もあいまいになりやすい体制になったと。

〇道徳の価値の低さ、無思想性・無宗教
政治や統治は、複数の権力者の間での利益配分や利害調整が主たる任務となり、統治体制の外部にまで訴えかける高邁な政治理念は出番がない。逆に権力者にとって重要なのは、先にも挙げた地域住民を「食わすこと」にあり、思想性も宗教性も重視されなかったと。
これは、歴史の大事件で言えば、信長と本願寺の石山戦争で、食わすことを重視した信長が、思想重視の本願寺に勝利したことがメルクマールになっている。

このような江戸化は、稲作の急速な発達をもたらした「勤勉革命」を生み出したし、それも含め、今の日本に通じるものが多い。身分制は当然ないが、日本企業の取締役や正社員は、仕事で果たすべき機能が不明確で、身分制のようなものだとする論調もネットでは多い。

江戸化は、今につながる日本人の基盤で、気持ちのいいものとして現れるようだ。


■再江戸化   明治の半ばから昭和は江戸時代?
それは中国化が進んだ明治維新の反動として、明治半ばからすでに起こっている。
明治憲法のあいまいな議院内閣制度の制定や、首相の権限制限によるリーダーシップが発揮できない無責任、無思想体制などもそう。

第一次世界大戦前後からの戦争特需以降、大正日本から昭和恐慌、1940年頃に確立する戦時体制は、典型的な再江戸化と指摘する。
主なものは、
〇ホワイトカラーの固定化、会社の村社会化。
 幹部候補の終身雇用・年功賃金化、新卒定期採用、会社ごとに仕切られた労働組合など、会社に縛り付ける「百姓のイエ制度の近代版」が成立。
〇女性労働者を単なる家計補助員と見做し、単身で自活できるだけの給与を支払わずに、イエへ縛り付ける給与差別が定着。
第一次世界大戦後、世界の貿易が激減し、軍事面を中心に公共事業・国家主導の財政運営の増大。
など、会社のムラ化、軍部・国主導の社会主義=再江戸化が起こっている。

日中戦争から太平洋戦争へ
この本の日中戦争を捉える視点は面白い。それは、近世以来まったく正反対に分かれてきた日本(江戸化)と中国(中国化)のあいだの「文明の衝突」だったと。

中国は、商売が自由の競争社会で、自分の儲けにならないことはやらないので兵隊になって戦うのは最も苦手。徴兵制は機能せず、拉致した人間を身代りに入隊させたり、替え玉を送ったりと ”商売化” してたから、個別の戦闘では日本軍が勝っていた。
ただし、占領統治は、中国人でさえ掌握できない現地社会を、日本人に出来るわけがない。そのため、日本軍部は、いいかげん(=自由)な中国人に対する占領が行き詰まると、キレて虐殺をやるようなことも生じたらしい。

このように兵隊は弱いが、中国の指導者は、世界普遍的な道徳の体現者として訴えて国民を動員し、併せて国際社会の支援も得て日本軍を撃破する作戦に出た。戦時中の蒋介石は、「儒教の本家たる中国に、分家の日本が勝てるはずがない」と演説していたらしい。
まさしく、中華の伝統たるグローバルな正戦論で、日本の江戸時代型軍事動員を凌駕しようとした。実際、米国は日本に対して大陸からの撤兵を勧告して、経済制裁を発動、追い詰められた日本は、対米開戦に突き進む、、、、。

普遍的な理念の中国化と、こまごまと仕切った局地戦に終始した再江戸化の文明の衝突
日本は、中国戦線が行き詰るにつれ、「大東亜共栄圏」というような理念を語り始めたが、理念重視の国の形にしないと、戦争に勝てないと考えた日本人は少なくなかったようだ。
理念や道徳価値の低い再江戸化の時代に、「大東亜共栄圏」理念など中国化が起こるのがブロンで、それは太平洋戦争にまで突入する最悪な事態を招いている。

平成の中国化と再江戸化、そしてポスト3.11の日本と世界の行方

戦後から平成、そして3.11の歴史的な流れでも、再江戸化と中国化は起きている。

戦後から高度成長期まで一貫して、1940年体制が残存した再江戸化の継続。オイルショックが起きた1970年代は、世界的に中国化が進展したのに、日本は「日本列島改造計画」で地方にばらまきを行い、再江戸化が一層強まる。

その後のバブル、その崩壊を経て、小泉政権では中国化が起こったとする。
例えば、
ムラ社会的な中間集団を当てにせず、直接個人に支持を求める(小選挙区制度を活かした郡県制)
〇お気に入りの官僚登用や選挙での刺客候補など、派閥の推薦を受けない小泉式科挙制度
〇(大したことないが)「構造改革」「郵政民営化」という理念というかワンフレーズを唱える
規制緩和の促進(自由化)
靖国参拝など道徳観の提示
などは、確かに中国化のやり方だ。ご本人は、中国との関係を悪化させたが、政治手法は真似たと。

■ポスト3.11の日本、世界の行方
ポスト3.11の日本について、この本では長く続きすぎた再江戸化の時代が終焉し、中国化が「今度こそ始まる」と見ている。

理由は、日本は「中国化」と「再江戸化」モメンタムしかなく、再江戸化をしたくても、
既得権益や生活保障を支えたムラ(企業)とイエ(家族)がガタガタになっている
〇ムラ(企業、地域)の封建制に嫌気が差し日本から逃避する「資本」、イエ(家族)の男性優位の福祉制度に嫌気が差し、結婚や日本から逃避する「女性」を止めることが困難
などから無理でしょう、と指摘している。

一方、中国化の流れは、
〇すでに橋本さんとか地方自治レベルで直接個人に訴える新たな「郡県制」が沸き起こっている
〇人口減少社会が進む中、優秀な移民の獲得競争が起こっている
ため、理念をベースにした自由化が基本になると。

では、欧米を参考にする(西洋化)というモメンタムは、日本は無理か?

この本では、西洋化について、いち早く自由化した中国に、「何故、(欧米にある)法の支配や人権尊重、議会制民主主義がないのか?」という観点から触れている。
これは単純に、欧州では、これらは貴族の既得権益であり、身分制という遅れた時代に生まれた特権を下位の身分に分け合っていくプロセス=西洋の近代化=西洋化であったとする。人権は高邁な精神というより、貴族が持っていた既得権益であり、それを庶民にも配分することが西洋化だと。
その点、中国は、宋の時代から貴族などの身分制度を廃止したから、基本的人権を重視するような西洋化は無い(というか、不要/プヨ)。

日本も、見かけ上は明治以降、西洋化を取り入れたが、その実は産業革命の技術が中心で、その根本にある法の支配や人権尊重、議会制民主主義の精神がどの程度あるのかは疑問が残る。

この本では、「新自由主義英米中3国で同時に始まった」と指摘しているが、中国には自由主義リベラリズム)は無いと。
日本も自由主義リベラリズム)が弱いのなら、今後世界中が一層、新自由主義化する中、中国化するしかないという考えのように思えた。

欧米や各国も1970年代以降、中国化が進んでいると指摘している。
新自由主義化の流れと言えば、わかりやすい。ただ、例えば、正戦を宣言した湾岸戦争の動きや、何も実績がないオバマ大統領にノーベル平和賞を授与し、高邁な理念に対する期待(と言うか、お世辞)は、中華思想に通じる世界観を各国が意識したという分析には、また鱗が落ちた。

■ポスト3.11の歴史観
まあ、今後、本当に日本や世界が中国化するかどうかは、わからない。

日本では、3.11や、消費税増税が実質決まったような状況の中、被災地支援の名目でバラマキ派は勢いを得ていて、国の社会主義的な動き=再江戸化も起こっている。

江戸化の基盤となる、こまごましたムラ・イエ制度についても、例えば原発再稼働をはじめとして原子力ムラは復活するかもしれない。最近話題になる「いじめ問題」でも、事件を隠ぺいする教育委員会を核とした教育ムラの存在がクローズアップされた。
既存勢力のムラは、まだまだ日本の支配的立場にある。再江戸化のモメンタムは大きいだろう。

橋本氏の大阪市など、首長が率先する一部の地方自治体の動きや、それを支持する人びと、また、多くの人々が参加する原発反対デモはどうか?
明らかに、政府を信頼せず、逆に統治者への直接行動や糾弾によって怒りをぶちまける動きだが、これらは江戸化を支える仕組みへの意図的な反対なのだろうか? それとも、「平成のええじゃないか」一揆なのだろうか?
現時点では、何か新しい価値ということではなく、平成の一揆のように見えるが、これが歴史の変節になるかどうかはよくわからない。

この本で、教訓的な面を拾うと、中国化と再江戸化のいいとこ取り(ブロン)をすると、最悪なケースに陥る危険が高いということ。
マインドは江戸的な封建制なのに、頭では普遍的な理念として理想化することで、日中戦争をどんどん進行させてしまったような愚は避けたいものだ。何かの価値・理念(それは中国化のような新自由主義でも、リベラルでも)を謳うなら、制度・システムもそれに倣って、江戸的な制度がミスマッチと判断したら壊していくと。

理念的な国家主義で、個人の自由や経済・社会の自由を縛るファシズムは、今の日本では起こりにくいと思うが、バラマキを進め、ギリギリ再江戸化をしまくってどうにもならなくなった時、ポコッと出てくることは否定できない。
この辺は、リアルタイムの歴史時間の中でチェックして、そして変えることができるのか、わからない。

著者も言うが、好き嫌いは別として、長い新自由主義時代を生きてきた中国人のサバイバル技術、例えば、父系血縁など広く浅い人的ネットワークづくり、など個々に学ぶことも大事かもしれない。
少なくとも、徹底的に政府を信用せず、個人で生き延びようとするバイタリティは学びたいと思う。

個人的には、今の日本では風前の灯のようなリベラリズム(個人の自由尊重と、そのためには社会保障など社会・経済の自由化の一部を制約してもよいという考え)、今までの歴史観で言えば西洋化だが、の新しい価値づくりもあるだろう。この辺が、この本を読んで、すっきりしないところだが、批判という訳ではないし、自分で考えないといけないところ。
まあ、新たなリベラルとか馬鹿じゃないかと思われそうだが、トライ&エラーの積み重ねが必要で、すぐに実現するものではないとは思う。

  試みとしては、例えば、日本2.0 思想地図β vol.3
  http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC2-0-%E6%80%9D%E6%83%B3%E5%9C%B0%E5%9B%B3%CE%B2-vol-3-%E6%9D%B1-%E6%B5%A9%E7%B4%80/dp/4990524357

いや、まあ、中国化の新自由主義的(個人も、経済・社会も全面自由化)世界はつらそうだし、再江戸化は居心地が悪いし(基本サスティナブルじゃないし、人間を暗くするし)という消去的な面が強いのだけど、、、、。

個としては、タフな中国人的なバイタリティとサバイバル術、社会としては、中国化(新自由主義)でもなく、再江戸化(封建主義/きついコミュニティ主義)でもなく、当然ファシズムでもなく、タフなリベラル。

タフなリベラル化する日本。 その方が中国化する日本よりもhappyなような気がするという感覚的な話にすぎないのだが。

脱原発を方向付けたドイツ倫理委員会の実情  倫理委は日本でも出来るかな?     

ドイツが脱原発に舵を切った時に、メルケル首相が最も重視したドイツ倫理委員会の委員ミランダさんに対するインタビュー記事。
非常に参考になるのでスクラップ&メモ。

「国民的議論」をいかに進めていくか 〜ドイツ倫理委員会の実情と脱原発へのプロセス  ミランダ・シュラーズ
         http://synodos.livedoor.biz/archives/1958618.html

倫理委員会の正式名称は、「ドイツ・安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」。
” アンゲラ・メルケル首相の委託により2011年4月4日から5月28日まで設置された委員会、通称「倫理委員会」。委員による非公開の議論と、テレビ中継による公開の議論を経て報告書「ドイツのエネルギー転換―未来のための共同事業」を提出し、ドイツの脱原発を倫理的側面から方向付けた。”

ミランダさんは、こんな人
アメリカ生まれ。メリーランド州立大学教授を経て、ベルリン自由大学教授・環境政策研究センター所長。専門は環境政策政治学


■委員会メンバーはどんな人?

メンバーはメルケル首相が10人選び、残りを委員長のクラウス・テプファーさんが選んだという話を聞いています。環境問題に取り組む人と、企業的な考えを持っている人をバランスよく選出したのだと思います。
テプファーさんは、1987年からドイツ環境大臣を務め、1998年から2006年にかけて国連環境計画(UNEP)の事務局長を務めた人。
   略
原子力の専門家や電力会社関係の人は一人もいません。エネルギーのことをわかっている人、ほとんどわかってない人の両方がいます。印象的なのは、教会のメンバーはカトリックプロテスタントの両側が代表されていることでした。その他には、消費者に詳しい方、倫理やリスク社会専門の教授などが招待されました。与野党の議員も入っていましたが、緑の党はいませんでした。
   略
ドイツも日本と同じくまだまだ男性社会で、倫理委員会のメンバーは女性は2割くらい。

ドイツの倫理委員会にあたる会合組織は、日本には、そもそもない。
ドイツの場合は、首相と、首相が選んだ委員長がメンバーを選んだと。原発の専門家はおらず、エネルギーまで広げてもよく知らない人もいたらしい。政治家、宗教、及び倫理やリスク、消費者の有識者などで構成されたと。


■委員会の議論は?

委員会では意見がまとまらずに議論が進まないときがありましたが、そういうときはテプファーさんが場を仕切り、目標は「脱原発」であるということを繰り返し主張しました。
   略
議論が進まずに、これでは委員会がだめになるんじゃないかというときも何度かありました。対立したメンバーが、部屋をかえて密談や説得をはじめたりしたことも。しかし、倫理委員会全体が統一できていなければ、社会からの信頼や期待を得ることはできません。
   略
倫理委員会を進めていくうえで一番難しかったことは、本当の倫理的な考え方をもつと「原子力発電はすぐに停めたほうがいい」という考えに至ることです。稼働停止を10年先延ばしにしても、リスクはどこかのコミュニティが負担することになるわけですからね。
   略
・・・重視された人はいたか?・・・政治家と研究者の二人がいたのですが、やはり両者の関係が非常に大切でした。  略 、政治の話に加え、将来のためには研究も大切であるということがよく書かれています。
   略
・・・安全委員会との交流について・・・安全委員会のメンバーの一人と話をしたいと思ってコンタクトをとってみたのですが、断られました。やはりお互いに独立する必要あるという考えがあったのでしょう。
安全委員会のレポートが私たちのレポートの数日前に出来上がり、だいたいどういう内容が書かれているかは私たちにもわかっていました。ただ、それは私たちの倫理的な考え方に影響するものでもありませんでしたので、結果としては独立的に働いていたと思います。

目標は脱原発で統一していたが、脱原発にもいろいろあり、対立があったようだ。企業的な人もいたのだから、原発を止めるタイミングなどは大きな問題となっただろう。
技術者中心で、原発は安全管理が可能として原発を容認するレポートを出した安全委員会とは、独立していたようだ。


■委員会には、ゲストが呼ばれて議論した。そのゲストとは?

 ・・・重要なのは、誰を招待するかです。

たとえば、リスク社会論専門のウルリッヒ・ベックさんは、若者や女性をもっと招待するべきだと主張しました。次世代について考えることですから若者の視点が必要です。  略  また、ゲストで呼ばれた人もほとんど男性です。

これは、日本でもよくやる手だが、誰を招待するかがポイントと。


公開討論会は2回TV中継された

1回目はインタビュー形式で11時間ほど、2回目はパネルディスカッション形式で5時間ほど行いました。一番ピークのときで約150万人が見ていたと聞いています。
ドイツではそれなりに関心を持たれているといえます。また放送では視聴者の様子も映し出され「今のインタビューの内容をどう思いましたか?」「足りない議論はありますか?」など、委員会と視聴者の意見交換も行われました。

テレビ番組で公開し、国民に関心を持たれたと。


■日本で倫理委員会って成り立つのか?
ドイツの倫理委員会の運営も、ポイントは人選のようだ。

日本では、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会をはじめ、くそ細かいテーマごとにさまざまな委員会が立ち上がったが、ドイツの倫理委員会のようなものはない。
基本問題委員会は、ドイツの倫理委員会と同様に脱原発を基本に始まったはずだが、徹底することは無く、前に書いたが原発依存度の3シナリオを提出するにとどまった。

   原発依存度0%、15%、20−25%をイメージしてみる  0%シナリオは、それほど過激じゃないなあ
     http://d.hatena.ne.jp/morissk/20120718/1342607329

基本問題委員会の人選は、元経産大臣の鉢呂さんの更迭問題もひょっとしたら絡むような大きな話だったが、結局、官僚主導で決められた。かつ、”倫理” を議論するようなアジェンダではなく、もっぱら経済的な問題が中心議論になってしまった。

しょぼい経済議論が中心で、原発に対する行動規範となり得る倫理の議論は希薄だった。まあ、反原発派の人もいたが、日常的な安全性の話が中心で、それを超える価値や権威に関する議論はなかった。

そして、ドイツの倫理委員会についても、選挙に絡む政治の日常性として語る人が多かった気がする。はなから倫理や超越的な論理、価値というのはない。原発に対する価値観という大きな物語がない。

まあ、無理に捻って倫理自体を捏造してもしょうがないのだが。
繰り返すが日本には、ドイツのような倫理委員会がない。日本で倫理委員会って成り立つのか?

わからない。無理して、捏造するのはまずいと思うが、、、。
ただ、倫理委員会が成り立たない国は、原発を持つことは辛いという気がする。

オスプレイ問題って、結局のところコミュニケーション問題では  

日米両政府が米海兵隊の新型輸送機オスプレイの沖縄配備を決め、経由地の岩国基地に陸揚げされており、大きなニュースになっている。オスプレイに関して、いろいろな問題が指摘されているが、本当のところ何が問題なのかわかりにくい。
結局のところ、日本政府のコミュニケーションのいまいちさかな、という気もするが、簡単にメモ。

■安全性問題
オスプレイでは、まずは安全性が問題とされる。「ウィドウメーカー」(未亡人製造器)のニックネームもあるようだ。
ただ、10万飛行時間あたりの事故発生件数をみると、オスプレイが代替する予定の古いCH46ヘリよりも高いが、2004年に沖縄国際大学に墜落したCH-53Dシースタリオンも低いようだ。最も、CH46は、老朽化のため2010年は3万時間しか飛んでいないようだが。

機種             事故率
MV-22B オスプレイⅡ    1.93
CH-46 シーナイト     1.11
CH-53D シースタリオン     4.51
海兵隊全体         2.45
資料:沖縄タイムズ

今年になって2回事故が続いたことが不安の種になっているが、アメリカの報道では、
◯モロッコ事故は経験の浅い操縦士が機体の速度が遅いまま転換飛行を試みる操縦マニュアル違反を犯し、失速
◯フロリダの事故は前方の僚機との距離が近過ぎた事で僚機の出す乱流に巻き込まれた可能性があり、操縦マニュアル(ヘリコプター形態では250フィート離れる)に違反していた可能性。
とのこと。 (ソース http://obiekt.seesaa.net/article/280173146.html
垂直離着陸機が故の不安定さはあるものの、オスプレイ独自の構造問題ではないと。

技術に100%安全は無いのだから、オスプレイがCH46に比べ飛行速度が2倍、航続距離が8倍、往復できる距離なら4倍という高性能を考慮すると、悪くないかもしれない。
政府から国民に対するオスプレイの安全性と性能に対する説明・コミュニケーションが不足していると感じる。

     オスプレイ(MV-22)とCH46の性能比較
          MV22オスプレイ   CH46シーナイト
最大速力    509 km/h        265 km/h
航続距離    3334 km        426 km
作戦行動半径     600 km        150 km
        ソース:http://chinshi.blog102.fc2.com/blog-entry-133.html


■沖縄問題と7ルートの自治体問題
10月から配備が計画される沖縄 普天間は、大きな反対の声が起こっている。
もし、市民を巻き込む事故が起きたら深刻だし、以下のような情況もあるようだ。

オスプレイで野田政権追い込まれる」 国民新・下地幹事長が批判

 「国民新党下地幹郎幹事長(衆院沖縄1区)は24日の記者会見で、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを10月初旬に沖縄で運用する日米両政府の方針について、『オスプレイを強引に沖縄に搬入すれば、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を推進している人も一挙に辺野古移設反対に変わる。野田政権が追い込まれることは間違いない』と批判した。

             http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120724/plc12072412210012-n1.htm

沖縄の米軍基地問題は大きな問題。民主党としては、鳩山ルーピー元首相がつけた汚点もある。だが、CH46ヘリは「老朽化し使い続ける方が危ない」(森本敏防衛相)という面もあるのだが、うまくコミュニケーションが取れていないと。

オスプレイは、10月初旬からの本格的な運用では、本州、四国、九州など7つのル
全国知事会は19日、オスプレイが危険であるとして「自治体や住民が懸念する安全性の確認ができていない現状では受け入れることができない」と反対の緊急決議を採択するなど、飛行ルート下の自治体で反発が強まっている。ートを設定し、低空飛行訓練を行うことにしている。

         http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120723/plc12072321380028-n2.htm

自治体と政府間の話し合いも不十分のようだ。


■安保問題、主権問題
野田首相は、16日のフジテレビ番組では「配備自体は米政府の方針だ。どうしろ、こうしろという話ではない」と述べ、米側の判断を重視する姿勢を示したらしい。
岡田副総理は、7月1日に山口県周南市で記者団に対し以下のコメントをしたという。
「日本政府としては、オスプレイの安全性について、『きちんと説明してほしい』とアメリカ政府に申し上げている。ただ、配備することについて、『今しばらくストップしろ』とか、『ダメだ』と言う権限は日本にはなく、そういうなかでギリギリのことをやっていると理解してほしい」。

これは、日米安保条約 6条の話

日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリ力合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定(改正を含む)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

前半にあるように、アメリカに使用許可があるのだからいきなりダメと言えないのは確か。だが、後半にある「別個の協定」とは、日米地協定で、そこの25条が話題になる。

この協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府との間の協議機関として、合同委員会を設置する。合同委員会は、特に、合衆国が相互協力及び安全保障条約の目的の遂行に当たつて使用するため必要とされる日本国内の施設及び区域を決定する協議機関として、任務を行なう。

合同委員会を設置して協議できると。で、それを行うらしい。

玄葉外相は24日午前の閣議後の記者会見で、米軍の新型輸送機MV22オスプレイの運用について協議する日米合同委員会を26日に開催すると発表した。
 外務省で開かれる予定。山口県岩国市の米軍岩国基地への搬入に対し、地元や配備先の米軍普天間飛行場を抱える沖縄県が反発しており、政府は同委員会で安全性への懸念を払拭する具体的な運用方法をまとめたい考えだ。
 玄葉氏は「運用ルールは安全性の問題を考える上で大事な点だ。(結論は)出来るだけ早い方が望ましい」と強調した。同委員会は10月に予定されるオスプレイの本格運用までに数回開かれる見通しで、日本側は住宅地上空の飛行回避などを求めていく考えだ。

日本政府としては、安全性確保のための運用方法の具体化に注力するようだ。


尖閣問題への対応問題

玄葉光一郎外相は25日の記者会見で、米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備について、中国の海洋進出に言及し「日本自身の安全保障上の要請だ」と述べた。中国海軍への抑止力として期待できるとの認識を示唆した発言だ。
 中略 
 その上でオスプレイ配備について「装備品の更新や性能向上は抑止力向上に資する。米国の要請だからということではない」と強調した。

   産経web  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120725/plc12072516230018-n1.htm

オスプレイは、日本自身の安全保障上の要請で、米国の要請だからということではないと。
中国の海外進出、とりわけ尖閣に関して抑止力として期待するようだが、抑止力になるのかな。仮に中国が何らかの形で尖閣に上陸した時、オスプレイ出動するのだろうか?

先に書いたように、オスプレイは最大速力 509 km/h、航続距離 3334 km、作戦行動半径 600 kmだから、尖閣や上海なども入る。

中国紙・環球時報は24日、米新型輸送機MV22オスプレイ12機が23日に米軍岩国基地に到着したことを受け、同機の導入は、日米が尖閣諸島を含む「南西方面でも軍事的均衡力の増強」が念頭にあるとして、警戒を示す記事を発表した。オスプレイが沖縄に配備されれば、上海も行動半径内に入ると指摘した。中国新聞社などの中国メディアも同記事を紹介した。      

  サーチナ http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0724&f=national_0724_019.shtml

先に挙げた合同員会では、”合衆国が相互協力及び安全保障条約の目的の遂行に当たつて使用するための協議” とあるが、仮に尖閣諸島に中国が上陸した場合、オスプレイは出動するのだろうか?
米国にとって経済面で最も重視せざるを得ない中国との関係づくりを考慮すると、日米安保があるから、尖閣に米国が赴く、というのは現実的には無いと考えるのが自然だろう。航続距離が伸びて尖閣諸島まで1時間で着くというオスプレイを配置しても、実際の出動がないとすれば、可能性としての「抑止力」ということに期待することだけということか?
この辺は、外交上の微妙な話だが、日本側から米国に安全保障に関するコミュニケーションをしているのかどうかわからない。


オスプレイ購入問題

米軍の最新型輸送機「オスプレイ」が、英ファンボローで開催中の国際航空ショーで展示され、同機の開発計画を担当する米海兵隊のグレッグ・マシエロ大佐は、複数の国から購入の引き合いが来ていることを明らかにした。
オスプレイを製造する米ボーイングの関係者は今週に入り、イスラエルアラブ首長国連邦(UAE)、日本が同機の購入に関心を寄せていると記者団に明らかにしていた。また、買い手候補としてはカナダの名前も浮上している。

  ロイター  http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE86A05320120711

日本自体が購入し、自衛隊などに配備される可能性があると。米メディアは、米国が大幅な軍事費削減を迫られている中、軍需産業界が海外に展望を求める傾向が強まっているととの指摘もあり、今後高い買い物をする可能性が高い。


オスプレイ問題でも明らかな政府のコミュニケーションのイマイチさ
結局のところ、安全性に関しても、沖縄や7ルートの自治体問題にしても、安保・尖閣対応をとっても、オスプレイの問題は、政府のコミュニケーション能力の問題だという気がする。
野田さんの「配備自体は米政府の方針だ。どうしろ、こうしろという話ではない」というのは、安保条約上「当たり前」の話だし、その上で、日本としてどうするという話を聞きたいのだが。。。

米国や中国とだけではなく、自治体、沖縄、そして国民とのコミュニケーションが大事なのにね。