日本2.0 思想地図β vol.3 やっと入手   「憲法2.0を国会で審議しろデモ」始まらないかな。

なかなか手に入らず、いらいらした「日本2.0」、やっと今日get!
新たな憲法憲法2.0)を起草する、壮大と言うかむちゃくちゃロックな試み。
(はい、RockとJohn Lockeをかけてみました)

日本2.0 思想地図β vol.3

日本2.0 思想地図β vol.3

駆け足で「憲法2.0」の大枠を読んだだけなので、ここではスクラップ・メモ&簡単な感想のみ。

素直に、憲法の草案が起草できる自由を喜びたい。
大飯原発再稼働反対デモもいいけど、「憲法2.0を国会で審議しろデモ」とかやらないかな。参加するぞ。


■メモ1:起草文と前文
<起草にあたって>
・新しい社会は、新しいマインドセットを必要とする。
憲法草案の重要な原理は、「フローとしての日本とストックとしての日本の両立」
 流れる日本と留まる日本、解体する/抵抗する日本、市場と遺産。その二面性を止揚する制度を提案しようと考えた。

→二面性/二元論の止揚がベースにある新しいマインドセットが起草の精神であると。

・前文「わたしたち日本国民は、日本国が単一の国土と単一の文化に閉じ込められるものではなく、その多様な歴史と伝統を共有する主権者たる国民と、その国土を生活の場として共有する住民のあいだの、相互の尊敬と普段の協力により運営され更新される精神的共同体であることを宣言する。」

→いきなり、国民と住民の二元論をもとにした開かれた憲法の宣言。 いいね!

・4つの国の理念の採用
1)日本は公正な国
・国政の権威は、国民にのみ由来
・国権は、国民の代表が、国民と住民全体の幸福のために行使
・その代表者の決定は、国民は差別されず、政府は国民と住民の自由を妨げてはならず、説明責任を負う

2)日本は平和な国
・世界の安全と生存を諸国民とともに保持する決意
・世界の諸国民が恐怖と欠乏から逃れるための国際社会の努力に名誉ある役割を果たす

3)日本は繁栄する国
・経済的、文化的、社会的活動で繁栄することこそ、幸福の礎
・繁栄は、国民、住民の自主自律の判断に基づく選択の上に築かれる
・繁栄の果実は「特定の世代」にのみ独占させず、子孫の手に引き継ぐために尽力

4)日本は開かれた国
・国の繁栄は、自国のみならず諸国民との協力が重要と確認
・歴史を将来に紡ぐため、志を同じくする諸国民とともに、多様な住民とともに、長く歴史を歩む決意

→「自由・平等・博愛」はベースにある? のだろうが、「公平、平和、繁栄、開国」をフローとストックの二元論の止揚で追及すると。
  okだ。


■メモ2:元首 二元論
・象徴元首=天皇と、統治元首=総理(というか実質大統領制)の二元首制

天皇は、伝統と文化の統合の象徴
天皇の国事は、政議院の助言と承認が必要、政議院が責任を負う

・総理は、行政権の最終責任者
・総理は、国民の直接投票により、国民の中から国会が指名

→元首も二元制。従来の日本の歴史は、権威と権力が分離していた時代が長く、それを踏襲しているようだが、役割・責任を明確化(天皇の国事行為の限定、総理の責任の明確化)。とにかくトップが責任とれる体制つくれと。


■メモ3:国民と住民 二元論
日本国籍持つのが日本国民

・日本住民は、「法律で定める期間、日本国土に適法に継続的に居住する者」
・住民は、国家に服するが、国会に関与する権限、選挙権を付与

→ここが凄い。
国籍に関わらず、「日本の社会を構成する仲間」として住民を規定すると。
人口減少ならびに海外に飛び出す「日本国民」が多くなると想定する中、従来の「外人」を、一定の政治参加も行う「住民」として包摂する憲法というのは、非常におもしろい。
まあ、嫌がる人、多いのだろうけど。


■メモ4:基礎自治体と国 二元論
・国民、住民は、基礎自治体と国に運営を委託

基礎自治体は、地域共同体の運営と維持(住民の生存、生活、出産、教育の支援等)について条例を制定。
・住民自治と団体自治が原則。運営組織と形式は、住民の選択。
・広域行政など、必要に応じて連携が可能。

・国は、安全保障、外交、国全体の福祉など、国の存立、対外的な事項について法律を制定。

→ここは、今の日本の状況に比べると相当なジャンプだが、地方・都市から国が成立した欧米社会にキャッチアップ、と考えていいかな。
少なくとも、トップダウン型の道州制よりは数段ましな「一国多制度」を生み出す憲法のような気がする。


■<読み切れず>行政、司法、立法、自衛隊など・・・
自衛権自衛隊は、正当性を明記。国の交戦権、国際紛争を解決する手段としての武力の行使は放棄。

・政議院(総理、内閣)/司法や監察院/国民院と住民院など、読めてない。(酔い)

→現行憲法の9条は尊重しつつ、整理したうえで、自衛隊は明記。ここも現実的だ。
行政、司法、立法、特に国民、住民の政治参加に関わる国民院と住民院は、後で読むと。。。

パラパラ読みで54条、 「両議員において、議員が通信技術等を通じて議場外から出席する方法については法律で定める」など、一般意志2.0的なイケイケ制度設計が目につく。これは、憲法改正とかではなく、ネット選挙とともに、早めに実現できればと思う。


■簡単な感想というかメモ
パラパラ読み直後の感想としては、憲法草案の基本としての二元論的な枠組み、国民と住民、天皇と総理の二元首制、基礎自治体と国の運営が非常に新鮮で面白い。現状の日本や現行憲法との差異は、もう少し読みたいが、、、

・現行憲法のラディカルさ(9条とか)を継続する、「国民と住民」ダブル包摂の過激さ
・今までのウヤムヤどうにかしろ的な、天皇と総理の二元首制による責任の明確化
・今の日本で最もトホホの地方自治/地域コミュニティに対して、基礎自治体重視の欧米へキャッチアップ
が柱と思う。 いいね!

この憲法でいう「国民と住民」は、今までの「日本人と外人」という国単位のウチとソト区分とは異なる。永続というか長い時間軸を共有する日本国民と在日外国人を括るという「国」の概念を飛び抜けた発想。
現行憲法9条の、(日本だけ国際紛争を解決する手段としての武力の行使は放棄はナンセンスだが)戦争放棄という他国との共有を目指して国の概念をすっ飛ばした発想に相似する理想を感じる。当然、理想は重要!

原発事故でも見せつけられた日本の無責任体質。やっぱ上から正せと命令する国民主権憲法精神が二元首制にあるような気がする。まあ、僕は、いまさら天皇でもないだろ、と思うが、東浩紀さんは、結構現実的。確か、天皇の容認・尊重派は国民の多数だったはずだ。

基礎自治体の重視は、本当にその通り。僕は、千葉市長とか、あと、(ちょっと)橋本 大阪市長にも頑張ってほしいと思っている。ただ、欧州のように都市というコミュニティ/社会が基盤としてあり、国がおまけ(というか従属する)のような連邦制は無理でしょ、トホホな道州制議論いまいちでしょ、とこの辺はhopelessだった。
この憲法読むと、やっぱ、しこしこ100年位かけて、基礎自治体重視の欧米にキャッチアップするのありかなという気になる。(単純です)

まあ、おもしろく元気が出る本なので、おすすめです。
憲法2.0を国会で審議しろデモ」とか、してみたいとも思う。

まず出来そうなことは、在日外国人とりわけ中国人のバイタリティ・サバイバル戦略を学ぶこと、原発事故の責任追及、国主導じゃなく地方ネットワークによる道州制の先行実施あたりかな。
    この辺は、前書いた 「中国化する日本 タフなリベラル化する日本の方が良いと思うのだが、、、」
    http://d.hatena.ne.jp/morissk/20120729