スクラップ 政府原発事故調

東京電力福島第一原子力発電所事故で、政府の事故調査・検証委員会は23日、再発防止と被害の軽減に向けた提言を含む最終報告をまとめ、野田佳彦首相に提出した。

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時事ドットコム

畑村洋太郎委員長は、報告書について「被害者の視点で十分まとまっているかと言えば、そうではないと思う」と述べ、問題点が残っていることを認めた。

畑村委員長は1年2カ月に及んだ調査を振り返り、「やれる努力はやった」と強調。一方で、第1原発は今も放射線量が高く近づけない場所があるとして、「(現段階で)真相をつかむのは無理」と話した。

 また、事故の再現実験が行えなかったことに触れ、「限られた時間、陣容ではできなかった。次に調査する人たちに、ぜひやってほしい」と求めた。
 「人災という言葉で分かった気になるのは危険」などと反論。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が最終報告の公表前に再稼働したことについては、再稼働と報告書は無関係との認識を示した。
 畑村委員長は個人的見解として、原発事故が「あれでおしまいということはないと思う」と発言。テロなどによって、引き起こされる可能性を指摘した。

【政府原発事故調 最終報告書の要旨】
朝日デジタル

■事故発生と被害拡大の原因
(1)事故の対処
 非常用設備の知識が十分でなく、現場が幹部の判断を仰がなかった。代替手段を考えずに対処したことで事故が深刻化した。
(2)事前の防止策
 設計想定を超える津波が来る可能性があるという知見がありながら対策をとらなかった。複合災害を想定せず、過酷事故や住民被害防止の対策も十分でなかった。
(3)政府の危機管理態勢
 現地のオフサイトセンターが機能しなかった。首相官邸の危機管理センターも活用されないまま、菅直人前首相が重要案件を決めた。官邸の介入で現場が混乱した。
■提言
(1)防災対策の考え方
 過酷事故は起こらないというこれまでのリスク認識を改め、複合災害の発生と住民被害の発生に備えた防災計画を策定する。
(2)原発事故の安全対策
 地震以外の洪水や火災などによる事故も想定し、施設の弱点を評価する。
(3)原子力災害への態勢
 オフサイトセンターの強化や県が前面に出て対応できるよう危機管理態勢をつくる。
(4)被害の防止と軽減策
 社会に不安や混乱を与えないよう迅速で正確に広報し、実効性ある避難計画をつくる。
(5)国際的な調和
 国際基準をふまえ、国内の基準を最新、最善のものにする。
(6)関係機関のあり方
 原子力規制機関の独立性と透明性を確保し、緊急事態に対応できるようにする。東電は高いレベルの安全文化の構築に努める。
(7)原因究明と被害調査
 事故原因の究明と被害の全容調査の継続。