日銀 地域経済報告とか各種景気動向調査から、つらつら個人消費の情況を考える

今日は、日銀 地域経済報告(さくらリポート)をはじめとして、いろいろな景気動向調査結果が出ている。年央であり、年度でいえば第一四半期が過ぎた時期だから、サイクル的な経済動向発表だ。
僕は景気ウオッチャー型エコノミストでもないので詳細な分析などしないが、いろいろなレポートを見ながら、個人消費の情況についてつらつら考えた。まとまりはないが。

個人消費は、2012年上期は堅調

まずは、日銀 地域経済報告(さくらリポート):3カ月ごとの9地域別景気判断
■日経の記事
日銀、全地域の景気判断引き上げ 09年10月以来  地域経済報告、堅調な内需映す
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL050D7_V00C12A7000000/

日銀は5日、全国支店長会議でまとめた7月の地域経済報告(さくらリポート)で、全国9地域の景気判断を引き上げた。全地域の判断引き上げは2009年10月以来。内需が総じて堅調に推移するなかで多くの地域が「緩やかに回復している」や「持ち直している」との見方を示した。

 個人消費では「増加を続けている」(東北)、「持ち直し」(東海、近畿、中国、四国)など、7地域が前向きな判断を示した。エコカー補助金で自動車販売が増えているほか、消費マインドの改善で高額品販売が堅調に推移していることなどが寄与した。旅行関連需要もほとんどの地域が「持ち直し」と報告した。

■日銀のソースはこれ
http://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer120705.htm/
個人消費についてみると、、、
日経は「消費マインドの改善で高額品販売が堅調」と書いているが、大型小売店販売額の話。家電やスーパーはパッとしない。
あれ、見込薄と思われていた設備投資も上向き。個人消費の絡みでは、、

大型小売店販売額は、消費マインドが改善傾向にあるもとで高額品などが堅調なことから、多くの地域から「持ち直し」や「底堅く推移している」との報告があった。
家電販売は、薄型テレビなどの駆け込み需要の反動により、東北を除く全ての地域から、「低調に推移している」や「減少している」との報告があった。
・・・
(設備投資は)一つ一つは国内投資全体を引っ張っていくまでの力強さはないものの、各地域からは、以下のような分野に対する投資が積極化してきているとの声が聞かれた。
(a)高齢化の進展により需要が拡大する「ヘルスケア関連」
(b)消費者の「内食志向」、「食の安全・安心志向」などへの対応
(c)世界的に普及が進み、市場が拡大する「スマートフォン関連」
(d)メガソーラー事業など、震災後関心が高まっている「エネルギー関連」 ・・・(略)

内需個人消費)は全体でみると堅調で、自動車販売がひっぱり、スマホ太陽光パネルなどエネルギー、内食などのトピックスが調子がよさげ。


個人消費が堅調のポイントである自動車を見ると、、凄い!

上期の新車販売294万台=補助金効果で、リーマン前上回る
時事ドットコムより
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_eco_car-newsales-japan

日本自動車販売協会連合会などが2日発表した2012年上期の新車販売台数(軽自動車含む)は、前年同期比53.6%増の294万7357台で2年ぶりのプラスとなった。東日本大震災の影響で供給不足となった前年の反動に加え、政府のエコカー補助金が大きく寄与した。
 上期としては、震災前の10年実績(約265万台)を超えただけでなく、リーマン・ショック前の07年水準(約284万台)をも上回った。 


資料:時事ドットコム

プリウスが首位=12年上期の車名別販売

 日本自動車販売協会連合会全国軽自動車協会連合会が5日発表した2012年上期の車名別販売台数は、トヨタ自動車ハイブリッド車(HV)「プリウス」が18万1630台で首位となった。エコカー補助金の追い風を受け、前年上期に比べ2.1倍増となった。
 2位はホンダの「フィット」で、販売台数13万3345台のうち56%をHVタイプが占めた。また、昨年末発売されたトヨタの小型HV「アクア」が12万8243台で3位に入るなど、低燃費車が上位を占めた。
4位は低燃費タイプが人気のダイハツ工業の軽自動車「ミラ」、5位は4月から軽自動車でトップとなっているホンダの「N BOX」で、8位までが軽自動車だった。

政府の補助金エコカー、昨年の供給不足などの反動で軽が駆け込み的に売れていると。まあ、この凄さは、個人消費全体をまるまる堅調と思わせる、、、。

個人/世帯の使えるお金は、お寒い状況が続く

一方、、
厚労省 国民生活基礎調査(7/5発表)
世帯所得、88年の水準に減少 国民生活基礎調査
http://www.47news.jp/CN/201207/CN2012070501001476.html

 2010年の1世帯当たりの平均所得が、前年より13万2千円減って538万円だったことが、厚生労働省が5日に発表した「国民生活基礎調査」で分かった。22年前の1988年とほぼ同じ低水準で、これまで最も高かった94年(664万2千円)と比べ126万2千円減少した。
生活が苦しいと感じている世帯の割合は61・5%で86年の調査開始以来、過去最高となった。

(数字は2010年度の所得なので注意。)

ソースはこれ
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa11/dl/03.pdf

平成        1 3 年    1 4     1 5     1 6     1 7     1 8     1 9     2 0     2 1     2 2
全世帯( 万 円 ) 6 0 2 . 0  5 8 9 . 3  5 7 9 . 7  5 8 0 . 4  5 6 3 . 8  5 6 6 . 8  5 5 6 . 2  5 4 7 . 5  5 4 9 . 6  5 3 8 . 0

毎年、世帯所得(平均)は減っていると。企業の業績が上がっても、勤労者の給与の上昇には向かわない傾向がしばらく続いているので、今年少し景気が上向いても所得向上(平均)は期待はできない状況。

■お小遣いは若干増えたが、飲み代などは激減
2012年サラリーマンのお小遣い調査 新生銀行の調査より
http://www.shinseibank.com/cfsg/questionnaire/archive/pdf/2012_report.pdf

「サラリーマンのお小遣い調査」は、1979年に株式会社レイク(当時)で始めて以来30年以上にわたる調査実績があり、ほぼ毎年、夏のボーナス支給時期を前に、20代から50代のサラリーマンを対象として、昇給の有無やお小遣いの額などの懐事情を通じて、時代の移り変わりとともに変化する価値観を調査してきました。

    • -

*平均お小遣いは月額39,600円、昨年より3,100円のアップで5年ぶりに増加
*昼食代は510円と20円の微増だが、飲み代は680円ダウンの2,860円と大幅減

調査結果を細かく見ると、必要不可欠な昼食代は多少アップしたものの、飲み代の他、趣味代、嗜好品代(これはタバコだから、別要因も含むが)などは減らす傾向のようだ。日常の消費のもととなるお小遣いが少し増えても、必要不可欠じゃないものは、減らしていき、貯金に回すという涙ぐましさ。

まあ、厳しい所得状況の中、お小遣いが多少上がっても、日常消費は可能な限り減らすと(貯金とかに回すと)。

個人消費とばらまき政策のシーソーゲーム情況は、これからも続く?

あくまでも全体的な俯瞰でしかないが、上記をまとめると

個人消費は、2012年4-6月期は堅調
・その要因は、主に自動車購入で、その好調な理由はエコカー減税や昨年の供給不足などによる駆け込み的なもの
・その他の要因は、旅行(円高も影響)、スマホや太陽光などのトピックス消費があるが、日常の消費はかなり抑え込む傾向
という感じ。
こう見ると、個々には景気は良いという実感はなくても、個人消費で実は経済うまく廻っているということになる。

エコカー減税や、ふれなかったが住宅関連税制など政策による消費底支えは、もう切れるし、その辺を織り込んで、個人消費に陰りが出るのでは、という論調も出ている。

例えば、帝国データバンクが毎月行う景気動向調査 −2012年6月調査結果−
http://www.tdb.co.jp/report/pdf/201206_jp.pdf

2012年6月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比0.6ポイント減の37.6となり、2カ月連続で悪化した。
復興需要やエコカー補助金などの政策支援によって一部地域や業種では底上げが続いた。しかし、全体として内需は停滞しており、不安定な欧米景気や円高などで企業の
収益環境も厳しさが続いたことから、生産活動は低下傾向となった。
さらに、これまで改善傾向にあった『東北』でも頭打ちが鮮明で、政策に支えられてきた自動車関連業種も勢いに陰りがみられる。国内景気は自律回復に至っておらず、財
政出動の効果も息切れし始めており、踊り場局面を余儀なくされている。

(この調査は毎月と短サイクルなので、3カ月単位の日銀 地域経済報告(さくらリポート)と方向性に差があるのに注意)

個人消費堅調の宴は、長くは続かず、年内まで持つかどうか。この辺は、よくわからないが長く続くことは期待できないのだろう。
先日書いた記事で、今年の後半から補正で復興関連予算が投入されるから、見かけ上の景気は今年度まで持つのかもしれないが。。。
  ”財務省マジックってそういうことだったのか会議 これは野田さん巻き取られるなあ”
   http://d.hatena.ne.jp/morissk/20120704/1341419604

まあ、政府が餌(ばらまき政策)を撒くと、個人消費が少し伸び、餌がなくなると縮む。ここ20年弱(小泉政権の一時期を除き)続いている、情況に応じた政策と消費のシーソーゲーム。
ざっくり言えば”不況”と呼ばれる情況で、しょうがない、と言い続けてばらまき政策が打たれ、その情況を読んでの個人消費という構造が続いている、、、という流れの中でここ数カ月は いいね! ということ。

果たして、この情況に流されるという情況を変えることはできるのかしら? 何がこの情況に流されるという情況を変えるのかしら? ということが、重要な問いかなと思った今日。当然、経済政策は重要だが、個人の問題も大きいとは思うのだが、、。