電子書籍の伸びは当面アメリカだけ ”米国の電子書籍、ハードカバー抜いた”

米国の電子書籍、ハードカバー抜いた
http://www.j-cast.com/2012/06/18136051.html

”米国出版協会(AAP)が出版社1189社に調査したところ、2012年1〜3月の電子書籍の売上高は、2億8230万ドル(約225億8400万円)となり、前年同期比で28.1%増になったという。米調査会社が6月15日のブログで明らかにした。
AAPは同時に、紙の書籍の売上高も公表。それによると、ハードカバーは2億2960万ドル(約183億6800万円)、ペーパーバックは2億9980万ドル(約239億8400万円)だった。ハードカバーは前年同期比2.7%増だったが、ペーパーバックは同10.5%減となった。
注目されるのは、電子書籍がハードカバーの売上高を上回った点だ。ペーパーバックとの差も1年前より縮んでおり、来年以降は電子書籍が追い抜く可能性もある。”


台風4号の強風と雨の中、どうにか帰宅。悲惨な事故や災害に拡大しないことを祈りたい。

で、今日見たICTニュースの備忘録メモ
アメリカでは電子書籍の売上が伸びてハードカバー書籍を抜いたらしい。ハードカバー+ペーパーバックの紙の本の売上を抜くのも、数年内という感じだ。

アメリカだけが伸びる電子書籍市場

電子書籍は、日本をはじめ先進国・新興国で注目されているけど、伸びてるのはアメリカだけで、2015〜2016年位までは、それなりのボリュームある市場はアメリカだけという状態になりそう。調査会社PwCの「2012 Global Entertainment & Media Outlook:2012-2016」による世界の電子書籍市場の予測でも、アメリカだけ伸びて、日本・アジア、ヨーロッパは微増という感じ。(下図表)



図中で2009年にアジア・太平洋が一番大きい理由は、日本市場のエッチ書籍・コンテンツ(多分ケータイも入っているはず)のため。今後、日本が伸びない理由は、お分かりのとおり、大半の紙の書籍と電子書籍の値段が同じ(再販価格維持制度とか)、大手出版を中心に電子書籍コンテンツが圧倒的に少ない(大手は自分も消極的で、新規参入をいじめると)、ブックリーダーも品揃えが少ないしAmazonもこれから(海外勢力に向けたのすごい高い障壁づくり)という、今までの紙の書籍で出来た流通市場を変えないぞという構造問題(人は既得権益という)。

あと、1日本人ユーザとしても、やっぱし紙の書籍というモノに対する愛着は大きい。別に一昔・二昔前の文学全集を本棚に並べてうっとりとかは無いが、モノ(この場合本ですね)やコトバ(日本語)自体に神秘とかスピリチュアルとか宿る感じが(無意識に)して、紙の方がいいと感じる。(まあ、電子書籍の方が安くなれば、簡単に消し飛んでしまうと思うけど)
この神秘ってオカルトではなく、本棚にある本に、読んだ当時の気持ちとか思い出とかその当時の状況・時間感覚とかが、「くっついてる」という感じがする非合理的な感情。思い出とかの感情は欧米の人も持つはずだが、1神教的にはそれが本というモノに宿るという神秘性はあまりないと思う。(この辺は、また別に)

ヨーロッパで電子書籍市場が伸びないのは、税金問題(紙の本は”文化”で消費税やすいけどネット経由は”商品”で高い)、多言語国家群で翻訳とか供給がしんどいし割高になる(翻訳者への権利手続きとか)、Amazonとかが多言語対応とか、まだ気合が入っていない(今は、英語版を読むヨーロッパ人市場に注力していて、売上は米国で上がるケースが多い、UKもあるが、、、)などが理由。
これも言語文化とか社会制度とか構造的な問題だから、すぐに市場が拡大というのは難しいかもしれない。

電子書籍が大きく伸びないのはいいけど

アメリカ市場は、電子書籍が安い、最新のベストセラーを含めて電子出版数が多い、Amazonはじめサービス事業者が競争していて、今後もよいサービスが提供されそう、ユーザも重たい本(まずはハードカバー)持ちたくないし、というわかりやすい拡大要因がある。

ということで、先に挙げた調査会社PwCの予測については、当たるんじゃないかという印象がある。2016年以降は、ヨーロッパは、電子書籍が伸びない構造問題を合理的に解決して、市場拡大するかもしれない。アジア諸国も、印刷技術がいまいちだし、合理的な電子書籍市場が形成される可能性があり、かなり伸びるだろう。

日本は今後伸びるかどうかわからない。構造問題の解決の糸口が見えないし、、。1ユーザとしても、確かに本棚や納屋が一杯になり置くとこない問題が深刻になって、いつかは始めるかもしれない。ただ、電子書籍業界の人が夢想する「村上春樹 独占電子出版!」とかで買うのはやだな。

電子書籍が日本で大きく伸びないのはいいとして、このサービス周辺のクラウドコンピューティングとか、タブレット/リーダーとかがパッとしなくなるのは問題(今だっていまいちなのに)。あと電子書籍市場で現れる才能がoutというのはつらいので、新たなタレント向けニッチ市場はどうにかしないと。