ギリギリの規律が利いたギリシャ:ギリシャ再選挙、ユーロ離脱回避

ギリシャ再選挙、緊縮派2党で過半数 ユーロ離脱回避
http://www.asahi.com/international/update/0618/TKY201206170443.html

ギリシャのやり直し総選挙(一院制、定数300)が17日投開票され、「ユーロ残留」を掲げた中道右派・新民主主義党(ND)が第1党となった。もともと大連立を組んで緊縮路線を進めてきた旧2大政党で過半数に達した。ギリシャのユーロ圏離脱や市場の混乱はひとまず避けられた。”

ギリシャ再選挙の獲得議席
政党         議席数 得票率
ND         129 29.7%
急進左翼        71 26.9%
PASOK       33 12.3%
独立ギリシャ人(右派) 20  7.5%
黄金の夜明け(極右)  18  6.9%
民主左派        17  6.3%
共産党         12  4.5%
(開票率99.8%。ギリシャ内務省発表)


僅差とはいえ、緊縮財政とユーロ残留が公約のNDが第1党になった。「緊縮財政は嫌だが、ユーロには残りたい」という素直な結果。黄金の夜明けの得票率は、2012年5月のギリシャ議会総選挙とほぼ同じ。移民や経済で揺れ、「いい加減」な国民性と散々言われるけど、結構、規律あるなあギリシャ いいね!という印象を持った。まあ、ギリギリだけど。

国を信用しない人々

ギリシャのことはよく知らない。お恥ずかしい限りですけど。。
ギリシャというと、古代ギリシャや紺碧の空・白い家・エーゲ海は置いておいて、アメリカに多いギリシャ移民からのイメージが強い。地中海的イタリアやスペインと同じように家族主義的でいつも食べてるが、イタちゃんと違って、底にほの暗さを感じさせるけど陽気(変な表現ですね)という印象がある。頑固というかエキセントリックというか南欧では個人主義が強いというか。

アメリカ映画だと、デリやタバコ屋の親父とか、タクシー運ちゃん(今は違うけどね)とかがギリシャ移民という設定が多かった気がする。まあ、国内でも第二次大戦後に限ったって内戦、共産主義、軍事政権とあり、ましてや移民なら頑固になるのも当然かも。
大好きなジョン・カサベテスがギリシャ系、あとハーベイ・カイテルがそうだと思っていたが、調べてみると違うようだ。今年の1月にお亡くなりになった名匠テオ・アンゲロプロス監督の「ユリシーズの瞳」の記憶がごちゃごちゃになったみたい。

ここ1〜2年はギリシャ危機が何かと話題になっていたので、この国のことはネットで見聞きした。
・公務員が勤め人の25%とか言われるけど、実際は数段多い(同じポストに2〜3人の公務員がいても 気にしない、いわゆる幽霊公務員の存在が多い)とか、
・年金受給額が現役世代収入の90%で、やりたい放題とか、
・賄賂社会で、決められている税金の1/3くらいしか払わない、とか
・消費税も払わないので闇ビジネスがGDPの40%とか、
・職場に行ったと思ったらデモばっかしてるとか、
「いい加減だあ、ギリシャ」というのが多かった。

まあ、僕は、いい加減というより、個人主義で、国を信用していない人々っていう印象を受けた。

ユーロと日本、どっちが危機?

じゃあ今後、この選挙結果でユーロ危機は収まるのか?
メディアでは、ギリシャのユーロ離脱という最悪の結果は免れたが、まだまだユーロ危機は再燃するかもしれない、という論調が多い。まあ、経済や金融の専門家も実際どうなるかわからないと。

ギリシャは、財政緊縮ができるのか?
ギリシャの人は国家を信用していないようだし、日本と違って政府が言ったら従うというのは無いだろうから、国としての財政緊縮ガンバリマス!というのは難しいかもしれない。
今回の選挙結果のメッセージは、あくまでユーロに残りたい(ギリシャ単独じゃダメ)ということが唯一の規律だから、ドイツに助けてもらいながら、無理じゃない脱放漫財政を淡々と進めるしかないような気がする。

じゃあ、ボリューム的には数段 放漫財政の日本は、どう規律をつくるの? というと、こっちの方がもっとわからない。
冷泉彰彦さんが、藤巻氏発言を引用し、「とにかく南欧諸国に比べて日本国債の問題は、国際市場の監視を受けていない、そのために真剣な改革が進まない」ということを危惧している。

「日本は5年で破綻」藤巻健史氏の警告に対しての「解」はあるのか?
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2012/06/post-446.php

うむ、難しい。はて、ユーロと日本、どっちが危機なのか?